4月5日、メンバーが国立環境研究所(つくば市)を訪問し、職員の方々に案内していただきました。
生物多様性領域の多田先生には、研究所内の図書館や温暖化研究棟などをご紹介いただく中で、環境研究者のお仕事について、実情も含めお話しいただきました。
メンバーからは、研究者にとってのやりがい、モチベーションについての質問がありました。それに対し、多田先生からは「研究者はほとんどが自らの知的好奇心に動かされて研究しており、実際社会でそれがどのように活用されるかには関心ないケースも多い」というお話をいただきました。また、「科学的に追求した結果は、あくまで自らの経験に基づいて分析した結果であり、全て『真理』であるわけではない。」というご説明をされました。近年、原子力事故、新型コロナウイルスなど不確実性の高い課題が生じる中で、科学者に対する不信感が高まっているように感じます。しかし、先生のおっしゃる通り、科学者に対する全面的信頼は非常に危険な状況であると思います。具体的にどの部分において科学を信頼し、あるいは行政を信頼するべきなのか、課題やフェーズに応じた見極めが必要であることを改めて実感しております。
適応センターの服部先生(弊団体OB)には、設立間もない気候変動適応センターを案内いただきました。センター内の資料を元に、具体的に生じている気候変動影響やそれに対する地方自治体の取り組みなどについて説明いただきました。個人的には、地方行政の取り組みの難しさという点が印象に残りました。具体的には、地方自治体は適応政策を実行するにあたって①人手不足、②行政担当者の交代周期の短さ、③具体的な取り組みへの構想不足、④調査能力や情報共有システム、など様々な課題を抱えており、こうした課題の解消には市民やNGO、地域企業の協力、連携が不可欠であるということです。我々CYJも、地方自治体が気候変動政策を実行するにあたって抱えているこうした課題に対して、連携を通じたサポートを推進していきたいと感じております。
午後には、多田先生につくば市内の桜の名所である福岡堰や市立美術館に連れて行ってもらいました!多田先生からは、「こうした体験を通じて感性の基礎が作られていく。研究者の環境問題への関心はこのような原風景が基礎となっていることも多い」というお話をいただきました。また、科学と芸術とは、自らの興味関心を源泉として最終的なアウトプットを成果物として出すという点での共通点があるというお話も印象的でした。
今回の訪問を通じて感じたことは、気候変動という一つの課題を探求するにあたってより多様な体験に触れることの重要性です。私自身も、自宅の椅子に座って延々とエネルギー白書を眺めているような時間がここ数日は多かったのですが、多田先生に言わせればそれは「植物人間」なのかもしれません(笑)
家を飛び出して、仲間とともに多様な経験を共有する。こうしたことの重要性はこのコロナ禍を通じて改めて実感しております。CYJとしても、感染リスクを十分にケアしながら可能な限り対面活動も再開していきたいと思います。
最後に、今回の訪問に協力していただいた研究所の皆様、貴重なお時間を割いていただき誠にありがとうございました!
文責:近藤
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